研究課題
平成22年度の報告書には詳細な研究結果を記載した。それに基づいて研究目的ごとの研究成果は以下の通りになる。1. 正常妊娠経過における骨盤底筋の変化妊娠経過にともなって骨盤は拡がること、また会陰腱中心の長さも伸びることから、骨盤底筋は、妊娠経過に伴って弛緩すると考えられる。しかし、その収縮力はほとんど変化しない。したがって、正常妊娠では、骨盤底筋の弛緩はみられるが、収縮力は保持されていることが示唆された。2. 子宮頸管無力症妊婦の妊娠経過における骨盤底筋の変化子宮頸管無力症妊婦では、妊娠後期より初期に骨盤底筋の弛緩を示唆するデータであった。しかし収縮力は妊娠後期にかけて回復を示す結果であった。これらの結果から、子宮頸管無力症の場合、妊娠初期の妊娠子宮の保持力における問題を示唆していると考える。3. 正常妊婦・子宮頸管無峪症妊婦、子宮頸管無力症既往のある妊婦の妊娠経過における骨盤底筋の変化の相違1および2の結果から、両者の相違は妊娠初期の骨盤底筋力であると考える。しかし妊娠後期には両者のデータはほとんど同じ値になっている。このことは、分娩が近づいている時期の両者の骨盤底筋および骨盤底筋力によって支えれている妊娠子宮、骨盤内臓器の力学関係は同様な状態となっていることが考えられる。4. 子宮頸管無力症予防のための骨盤底筋訓練の考察正常妊婦と子宮頸管無力症妊婦の骨盤底筋には、妊娠初期においてその弛緩に違いはあるが、妊娠後期には同様な状態になることが明らかになった。しかし、これら結果と骨盤底筋訓練との関連を十分に明らかにするにはさらなるデータが必要であり、この点が今後の課題となった。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of the Tsuruma Health Science Society, Kanazawa University
巻: 35 ページ: 27-36