本研究の目的は、青年期女性が妊娠や性感染症に対し予防行動を確実に実行できるための効果的な教育プログラムを開発し、その効果を検証することである。平成22年度に実施した183文献の検討と量的・質的調査結果をもとに教育プログラム実施時に使用するパンフレット「妊娠と性感染症」を作成した。パンフレットの内容は、女性が最も心配する妊娠に関連した事項(月経と妊娠のしくみ)を最初に記述した。さらに、女性は月経の正常性についての心配を抱えやすいため、正常な月経の周期を示すとともに、月経の記録をつけることで、自分の体の状態を知ることにつながることから、月経記録を促す内容を加えた。また、女子高校生・大学生は、月経開始日を入力することで、排卵や月経開始日を携帯のアドレスに知らせるというWebサイトを利用していることから、そのURLも掲載し自分の体の変化を知るための方法も記した。次に、日本の若者の多くが利用している避妊方法はコンドームであることから、脱落や破損による避妊の失敗があるため、そのような時の対処法としての緊急避妊法の解説と利用の仕方をパンフレットに記載した。さらに、コンドームの正しい装着方法をクイズ形式で提示し、そのクイズに対する正解を解説した。また、女性にとっては、コンドーム法よりも経口避妊薬の服用が確実な避妊につながることから、ピルの効果や服用方法なども記載した。一方、若者の約9割が男性コンドームによる避妊を行っていることから、男性が避妊に協力することが求められるため、男女の関係性の有り様をデートDVと絡めて記載した。最後に、性感染症の伝搬の様式を解説するとともに、若者に注意を促したい性感染症(性器クラミジア、淋疾、尖圭コンジローマ、HIV)を解説した。このパフレットの特徴は女の子3人の会話を提示し、身近な話題として示した点にある。なお、今後はこのパンフレットを用いた教育の実施・評価が今後の課題である。
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