看護師が行うプレパレーションの導入モデルとして、2000~2002年の研究成果である小児看護ケアモデルを24項目の簡易版として出版した。(「小児看護ケアモデル実践集」へるす出版、2012年7月)次に、この本の内容を活用したケアモデル実践講座を開催した。受講生はケアモデルの項目に照らして各自の実践を振り返りながら他の病院の実践例を知ることができ、講座終了時にはケアモデルのほとんどの項目において実践頻度が改善していた。調査開始当時から比べると医療の場における子どもの権利保護に関する意識は改善してきたが、10年が経過した現在における新たな課題も浮き彫りになってきている。少子化や短期入院の動向の中で小児病棟の閉鎖や混合病棟化の傾向が増加し、子どもが入院する医療環境によっては、提供される小児看護の専門性に差が生じる可能性や、子どもや家族に時間をかけて関わることが一層難しい状況となっていることが考えられる。混合病棟の看護師も含めたケアモデル実践講座の受講生の講座前後の変化を把握しつつ、研修方法について検討を重ね継続して開催する必要がある。また、ドイツ・NRWカトリック大学看護学部マイケル・イスフォルト教授との共同調査によるドイツと日本のプレパレーションの実践状況の比較から、「子どもより親に説明した方がよい」との認識は日本では約5割、ドイツでは約1割と認識の差が明らかとなった。この調査内容を現在、インドネシア国内の数名の看護師を対象として調査中である。今後も子どもの権利保護において先進的な福祉政策を実践しているドイツと経済連携協定(EPA)を結ぶインドネシアにおける調査を進めることにより、本研究テーマの国際的な発展の可能性を探求し、海外の実態と比較しながら国内の子どもに対する看護実践について検討していきたいと考えている。
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