研究課題/領域番号 |
21592831
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
木戸 久美子 山口県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (40269080)
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研究分担者 |
林 隆 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (20253148)
藤田 久美 山口県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (40364129)
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キーワード | CBCL / 自閉症スペクトラム / CES-D / 育児支援 / 育児困難感 |
研究概要 |
【緒言】自閉症スペクトラム児(ASD児)の母親では、抑鬱などの精神面の健康状態に問題を抱えるものが多いことが欧米における研究で報告されている。本研究では、22年度で得られた結果からさらにデータ数を増やして、ASD児の行動特性と母親の抑鬱状態とに関連があるのではないかと考え、本邦におけるASD児の母親の精神面の健康状態の実態を明らかにし、子どものどのような行動特性が母親の精神面の健康状態と関連しているのかを検討することを目的とした。また、発達障害児の母親を対象とした相談活動を行い、育児の具体的支援を行う。【方法】調査協力の得られたASD児の母親86人を対象とした。母親の精神面の健康状態を測定する尺度としてCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)を、子どもの行動特徴を把握するためにChild Behavior Checklist(CBCL)を用いた。CES_Dを従属変数、CBCLの各項目を独立変数として重回帰分析を行った。すべての有意水準は5%未満とした。本研究の遂行にあたり山口県立大学生命倫理委員会の承認を得た。【結果と考察】児の性別は男子66人(76.7%)、女子12人(23.3%)だった。母親の平均年齢は40.3±5.4(95%CI:39.0±41.5)歳、児の平均年齢は9.3±4/2(95%CI:8/3±10.2)歳だった。CES-Dの結果は、正常45人(52.3%)、軽度抑鬱以上41人(47.7%)、であり、約半数上は抑欝傾向だった。また、子どもの年齢から学童期65人と思春期以降19人とに分け、CES-Dの結果を集計したところ、学童期の子どもの母親と思春期以降の子どもの母親を比較すると思春期以降の子どもの母親で高度抑鬱の割合がやや多かった。CBCLのT得点の内訳は、正常32人(37.2%)、境界域以上56人(62.8%)だった。全体的には、CES-DとCBCLの多くの項目で相関関係にあり、重回帰分析の結果では、CBCLの「その他の問題」が唯一影響していることがわかったが、子どもの発達年齢別にみると学童期の子どもではCES-D値を予測する有意なCBCLの項目は認められず、思春期以降の子どもでは「CBCL II(身体的な訴え)」(β=-0.521)のみが母親のCES-D値を予測する要因として影響していた。発達障害児の母親を対象とした相談では母親が行う現状の育児を専門家が肯定することの重要性を認識した。
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