健康リテラシー教育プログラムのパイロットスタディを実施した。1グループ6~8名によるグループディスカッションと課題追求活動と専門家による講義を半年から1年間継続した。(1)主体的な課題追求活動、(2)自己の考えの表現、相手とのコミュニケーション(3)プレゼンテーションの3つを柱として、(1)フリーな健康問題議論、(2)各メンバーの課題決定、(3)その課題の追求方法の決定、(4)中間報告、(5)最終報告、(5)次の課題の計6~10回実施した。各メンバーは、自己の健康観察(各種測定機器によるモニタリング)、活用できる情報・社会資源、家族への健康情報提供等多様な課題を設定・追求した。参加者の自己評価と研究者の参加観察により評価した結果、各自の健康問題と課題、自分健康に対する責任意識、個人や社会の健康問題への関心、各種メディア(TV・インターネット・新聞・健康関連本等)を通しての健康情報・社会資源をクリティカルに評価等の成長が認められた。また、高校生対象に「喫煙」「薬物」に関してどのように拒否するかについて、議論の後、ロールプレイを交えた議論を実施した。実施後の調査で、参加者は誰でも誘惑に遭遇し、意思をしっかり持って、友人同士で共同して拒否することの重要性を認識していた。ともに具体的な課題を小グループで追求することに効果が認められ、メンバー間での相互作用による効果の大きいことが明らかとなった。次いで、子どもの健康リテラシー評価のための質問紙を作成し、小学4年生から中学3年生合計450名を対象に調査を実施した。因子分析、項目分析、信頼性の検討の結果、子どものリテラシー尺度として、(1)自分健康への責任、(2)健康行動の実践能力、(3)疾病予防の知識、(4)健康情報探索能力、(5)健康問題への関心、(6)潜在的危険状況への対処の知識の6下位尺度により構成される暫定尺度が作成された。
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