研究課題/領域番号 |
21592850
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小林 敏生 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (20251069)
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研究分担者 |
影山 隆之 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (90204346)
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キーワード | 労働者 / 定年退職 / 再雇用 / メンタルヘルス |
研究概要 |
本研究は大量定年時代を迎えた現代社会において、ライフイベントである退職が労働者のメンタルヘルスやQOLに与える影響を明らかにし、退職を控えた労働者への適切な健康支援策に結びつけることを目的とするものである。今年度は以下の研究を実施し、結果の一部を公表した。 1).質的インタビュー調査結果の公表;男性労働者(現役労働者、再雇用者、完全退職者)計25名を対象にして定年退職に対する思いについて半構成的面接を行い、逐語録作成後に内容分析を行った結果、現役労働者では定年退職後の人生の選択肢が多岐にわたり、必ずしも定年退職をライフイベントとして捉えていないことが推察された。得られた結果は、第84回日本産業衛生学会にて発表した。 2).調査票の作成と量的調査の実施;ストレス関連項目および生活習慣項目および定期健康診断項目について、毎年実施される健康診断時におけるデータ取得を今年度も継続的に実施した。また、質的インタビュー調査から得られた情報を基に、定年前後のメンタルヘルス・QOLに影響すると考えられる因子を抽出して調査表を作成し、退職予定者を対象として調査を実施し、約100名から回答を得ており、現在データ解析中である。また、予備調査としてまとめた、男性労働者における定年退職5年前と定年退職年の抑うつ度の変化については、定年退職を迎える労働者を対象にして、定年退職5年前と定年退職年の抑うつ度を縦断的に調査した結果を論文にまとめ、学術雑誌に論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間内で定年退職や再雇用を迎える労働者を対象に前向きコホート調査を実施し、退職年度、退職1年後、再雇用1年後に新たに追加質問を実施する予定となっているが、現在まで退職年度のアンケート実施者が当初の予定の人数より少なく、来年度以降実施予定の退職後のフォローアップについて対象数の確保が困難な可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後、定年退職や再雇用を迎える労働者を対象にした前向きコホート調査を継続し、再雇用の有無を含むライフスタイルとストレス、メンタルヘルス、QOL調査等を実施することで、メンタルヘルスの変化とその関連要因を検討する.得られた結果から、定年退職期における、労働者のメンタルヘルスを中心とした健康状況とそれらに影響を及ぼす要因を明らかにすることで、効果的な健康支援策の構築に繋げる.退職労働者のフォローアップについては、研究期間内に実施が困難な場合には、研究期間後も引き続いてフォローアップを行う予定である。
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