研究協力施設である長崎労災病院のアスベスト外来受診者を対象とし、本研究の目的と計画、意義について文書と口頭で説明を行い、同意・署名を得たうえで診療前に不安とうつ状態の測定及び採血を行っており、現在90名の協力を得ている。今後150名を目標としてデータ収集を続行する。調査項目は、特性不安、状態不安、うつ状態、レントゲン所見、その他属性として、年齢、性別、職業、喫煙歴、アスベストばく露歴であり、免疫学的指標として本年度は血清中のサイトカインInterleukin (IL)-1、IL-6、IL-10の蛋白濃度、およびリアルタイムPCR機器を使用しIL-1、IL-6、IL-10のm-RNAの定量測定を行う予定である。長崎労災病院に保管しておいた凍結血清およびT-RNAは、適宜回収して研究代表者の所属する冷凍庫に保管している。これまでに得られた質問票のみの結果では、受診者の半数以上が受診前に強い不安を感じており、約20%がうつ状態を呈していた。また、受診前の不安とうつ状態とレントゲン所見との関係では、異常なしに比較し関連疾患のある受診者の不安とうつ状態は悪い傾向にあり、前回調査した時と同様の結果が得られている。本年度は昨年度のサンプル数が100近くになり、コントロール分も40採取できたためサイトカインの測定を開始する。サンプル数は目標に達し次第、もしくは今年度12月までデータ収集を行い、不安とうつ状態の結果にさらに科学的データ(血液データ)を加え、アスベストばく露を受けた人の不安とうつの悪化と血液データとの関連性を検討し精神的援助と看護の役割との重要性の検討を深め、その結果をまとめ看護系の国内外の学会で発表を行う。また、英文にて論文にまとめ学術雑誌に投稿するとともに、当学部のホームページに得られた結果を公表する予定にしている。
|