研究概要 |
青年期および成人期女性の慢性ストレスと血管の健康度を結ぶ心理・社会・生物的メカニズムを包括的に解明するため、食行動、運動習慣、心血管系健康指標および心理指標を調査した。研究1:健康な女性132名(18.8±1.0歳)を対象に体格指数(BMI)と体脂肪率により「やせ群」「標準群」「隠れ肥満群」に分けて検討した。食行動では隠れ肥満群とやせ群の間に有意差(F_<(2,129)>=4.94,p<0.05)が、心血管系リスク集積マーカー値は隠れ肥満群とやせ群、隠れ肥満群と標準群との間に有意差が認められた(F_<(2,129)>=6,76,p<0.05)。隠れ肥満群では食行動はやせ群より不健康であること、やせ群および標準群に比して心血管系に関するリスクが高いことが考察された。研究2:女性69名(18.7±0.9歳〉を対象に食行動、佐々木による簡易型自記式食事歴法質問票(brief-type self administered diet history questionnaire : BDHQ)と心理指標を調査した。食行動と怒り(r=O.41.p<0.01)、食行動と攻撃性(r=O.37,p<0.01に有意な相関があること、また望ましくない食行動とショ糖の摂取状況との相関(r=0.41,p<0,01)が認められた。研究3:女性134名を対象に食行動、心血管系健康指標、心理指標を測定し運動頻度群別に分析した。その結果、運動頻度低群では、食行動が運動頻度高群より不健康であること(F_<2,131)>=4.93,p<0.05)、また食行動と怒りとの相関(r=O.33,p<0.05)、食行動と攻撃性との相関(r=0.44,p<0.O1)が認められた、以上の研究成果を踏まえ、今後はアロスタティック負荷に影響する心理社会的影響要因、食行動と運動習慣が血管健康度に及ぼす影響とそれら全体に関わる女性ホルモンの影響について分析を行い、本研究課題の総括をする。
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