本研究は平成21年~24年度、虐待予防を目指したグループ・ミーティング(以下、グループ)支援のためのアセスメント・評価ツール(以下、ツール)の検証、"評価に基づく虐待予防のグループ支援の展開方法"及び"支援能力の育成"と効果について明らかにすることを目的とした。 21年度は以下の事項に取り組んだ。1)A県保健所・管内市町村保健師・保育士ら約50名に子ども虐待予防のグループ支援に関する研修会を実施した。さらに、研修に参加したB市保健師を対象にグループ支援のツールの概要・活用方法・留意点等に関する研修を開催し、本研究の主旨説明と研究協力依頼を行い、22年度よりB市と共同研究を開始することが決定した。21年度はグループ支援能力に関して保健師より情報収集、先行研究で抽出された支援能力項目の妥当性及び支援者育成の教育研修の企画・実施・評価方法について協議した。2)先行研究(平成18-20年度基盤C研究)の協力機関に研究継続を依頼し同意を得て、グループ参加者(母親)11名にツールを用いて効果の継続調査を行った。結果は保健師、保育士、臨床心理士、児童相談員、研究者を構成員とする事例検討会議で報告し、妥当性・信頼性及び適用可能性、支援に必要な要素を検討し、(1)グループダイナミクスの観点から個々の参加者を捉える視点、(2)事後フォロー、(3)参加者の回復状況に合わせた他の社会資源の紹介・開発、(4)グループと個別支援の連動、(5)児の発達に伴い、学童期に関わる支援機関との連携、(6)修了時期の判断、の支援に必要な能力が把握された。また、ツール活用について、(1)測定内容の妥当性・信頼性は概ね確保されている、(2)多角的な視点からアセスメントが可能である、(3)経時的変化が把握できる、などグループ支援だけでなく個別支援にも役立つ情報が得られる利点があると確認された。
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