研究概要 |
【目的】 若年認知症者および介護家族の双方のQOLをめざした包括的な地域生活支援方法を縦断的な追跡により開発し,若年認知症者と家族の実態把握調査の結果を含め,地域生活継続の可能性と支援方法,ケア・サービスの評価を行い,地域包括ケアシステムの構築に向けて必要な施策を検討する. 【方法】 1)若年認知症者(本人)及び家族のセルフヘルプグループ(SHG)の定例化(1)対象者:本人(65歳未満)10名とその家族.(2)方法:(1)本人の発達とストレングスモデルの実践的展開により,SHGを発展させ,個別の能力開発を目的としたアートセラピープログラムを5年間継続的に実践し,認知機能(NMスケール),ADL(N-ADLスケール),行動観察(感性記録)等を用いて継続的に効果測定.(2)家族グループ(家族G);介護プロセス,資源の活用と対処方法,必要とするケア・サービス等についてインタビューし,相互交流を実施.2)実態把握調査(1)対象:A市の65歳以下の要介護認定者のうち特定疾病分類による初老期認知症,脳血管疾患,その他で,日常生活自立度判定2a以上の465名.(2)内容;基本的属性,初期及び現在の状況,社会サービス等,3)研究期間:2009.6~2010.3. 【結果】 1)今年度2回以上参加の本人の認知機能・感性の変化を検討した結果,認知機能は,発症初期からの参加は「記銘・記憶」「見当識」のある程度の維持と関連,(2)アートセラピーによる「意欲・関心」等の積極性・自発性の維持は,認知機能の維持・向上に関連することが示唆された.(3)家族Gでは,相互交流により個々の課題に対する相談支援機能は向上し,個人,グループがエンパワメントし適切な地域資源やサービスの活用・開発及び対処方法の習得ができ,地域生活継続を可能にしていると考えられた.2)実態把握調査では,特に初老期と脳血管を比較し,本人の状態(初期・現在)受診・診断やサービス困難点等に差があり,各々の支援方法に特性があった。
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