研究概要 |
本研究においては近年増加傾向にある発達障害児の身体状況調査に基づき「やせ」と「肥満」の改善支援のための要因について多面的に検討することを目的とする。 平成23年度は平成22年度に開発した生活習慣チエックリストを活用し、対象者の生活習慣を含む家族環境要因との関連をさらに詳細に検討し,また事例的に対象者への保健指導を継続して実施した。 1.性・年齢区分別にみると男女ともに肥満者は年齢の上昇とともに増加(平成21年度報告)していたのに対しやせは低年齢層で高く,その頻度は年齢とともに男子で11%→9%→5%と減少し、女では8%→5%→0%と減少していく傾向にあった。 2.診断区分別にみると男では知的障害を伴う者は他の診断区分と比べて肥満傾向が強く約3割が肥満であった(平成22年度報告)のに対しやせはADHDで12%で他診断区分の3~6%に比べてやせの頻度が高かった。 3.発達障害を伴う児は幼いころ食の細さがあっても、ある年齢になって落ち着いて食事に向かうことができるようになるとやせは解消していく傾向にある。高学年になっても運動量が比較的少なく、食べることに執着するようになるとある時期(9歳頃から)急速に肥満に向かう傾向が観察された。発達障害を伴う児においては一般の思春期女子で指摘されるやせの問題よりもどちらかといえば男女ともに肥満の問題が深刻であるといえる。 4.継続保健指導を実施した事例では,成長期の特性を生かし家族が支援する方法の具体的な提示、疑問や不安に関する適切な対応、母親にも目標を設定することが親子で頑張るという新たな目標につながりこれらのことが中断に至らなかった要因と考えられた。
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