本研究は、子育て不安を抱える家族とその家族を取り巻く非専門職の住民をエンパワメントし、関係形成を促すための妊娠期からの継続した子育て支援プログラムを開発すること、さらにそれらを通して応募者らが明らかにした支援モデルの精緻化を図ることを目的とする。 本年度は、 1. 先行研究や報告書等の文献の検討、応募者らが行った子育て不安の調査等の検討から子育て支援の現状と課題を明かにした。同時に、専門職支援者である保健師に対して聞き取り調査を行った。 2. 大学の近隣の異なる特徴を持つ4つの市町において、子育てを支援する側の住民と子育て支援を受けたいと考えている住民(妊娠期および子育て中の母親)に対するプログラム作成のためのニーズ調査を行った。調査票は、上記1に基づいて作成し、市町村の母子保健担当者と専門職支援者である保健師に対して、研究の目的・方法等を説明し、協力を依頼した。 現在、調査票調査とその入力は済み、分析中である。調査の状況は以下のとおりである。 育て支援を受ける側の住民の調査票配布数1031、回収455、回収率44.1% 子育て支援する側の住民の調査票配布数383、回収186、回収率48.6% 3. プログラム開発のために、既存の子育て支援サークル等について、実施している住民や保健師等へのインタビューを行った。 4. また、次年度の計画である子育て支援サポーター育成プログラム・子育て支援プログラムの開発についても研究協力を依頼し、保健師と共に、目的、方法、役割分担、プログラム実施に必要なリソース(施設や設備、人的資源等)の確保の方法等について検討した。その結果、来年度は、そのうちの一つの町でニーズ調査に基づいて作成したプログラムを実施する予定である。
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