本研究は、保健室で手当てする頻度が高い「外傷」の写真画像を収集し「症例写真データベース」を構築し、その画像を用いて外傷の重症度・緊急度の判断力を養う養護教諭向けフィジカルアセスメント教育プログラムを作成することを目的としている。 平成22年度は平成21年度に依頼した3施設において、外傷(外的要因による組織または臓器の損傷)の写真撮影をするとともに、「基本情報(年齢、受傷日時、原因、外傷分類、外傷部位、受傷場所等)」、「来室前までの情報(来室方法・目撃の有無、手当ての有無)」、「受傷機転」、「利用者の状況(バイタルサイン、外傷部位の観察結果)」、「アセスメント結果と受診の有無」に関する情報収集を行った。調査期間は平成22年1月~12月。同意が得られた42事例から計241枚の外傷の症例写真を撮影することができた。対象事例の年齢(平均±標準偏差)は19.8±1.50歳で、男性22名(52.4%)、女性20名(47.6%)であった。外傷種類(のべ数)は「擦過傷」が最も多く14例(33.3%)、次に「打撲」7例(16.7%)、「切傷」6例(14.3%)、「捻挫」「熱傷」がそれぞれ5例(11.9%)の順であった。現在、データベースを作成するとともに教育教材および教育効果測定のための評価指標の検討を行い、平成23年度の効果測定に備えているところである。さらに、症例数を追加することもあわせて検討している。
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