研究概要 |
大分県内の1事業所で三交替勤務に従事する男性労働者157名について質問紙調査のデータを解析した結果、Retrospective Alertness Rating Scale(Follard, 1995)を用いて評価した夜勤時の眠気は、次のような要因と関連していることが明らかとなった。 1)主観的健康感や朝型といった個人特性 2)仕事のコントロール度や達成感といった職場環境要因 3)昼間の睡眠前の「寝酒」「カフェイン摂取を控える」「入浴」などの生活習慣 他方、日勤週や準夜勤週の勤務中の眠気は、年齢・自覚的健康感や、職場の対人関係ストレスと関連していることが示されたが、上記のような生活習慣とは関連していないことが示唆された。 また、交替勤務への適応感は、仕事の達成感とは正相関、朝型であることおよび夜勤時の眠気とは負相関していることが明らかとなった。交替勤務の継続希望も、自覚的健康感と達成感とは正相関、朝型であることおよび夜勤時の眠気とは負相関していることが明らかとなった。 さらに、シフトを問わない全般的な不眠感と関連する要因を検討した結果、自覚的健康感の低さ、同僚の支援の乏しさ、仕事満足度の低さ、飲酒頻度の4要因が、不眠のリスクファクターであることが明らかとなった。 以上より、夜勤が続く週の昼間睡眠の量・質を確保するために、「就寝前に飲酒しない」「お茶やコーヒーを控える」「入浴をする」といった指導をすることは、有効である可能性が示された。ただし、これらと密接な関係がある就寝時刻や食事の時刻・内容などについても、合わせて生活指導に加える必要があると思われる。
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