前年度、睡眠健康に資する生活習慣についての睡眠教育テキストを試作し、小規模事業所でフィージビリティスタディを行ったので、今年度はまずその結果を分析した。参加者の生活習慣の変化は予想より小さかったが、不眠症状および夜勤時の眠気は睡眠教育の2カ月後に改善していた。生活習慣指導の方法、特に補助ツールとして用いた睡眠日誌に改善すべき点があることもわかった。 大分県内の別事業所(交替勤務者約500人)で大規模な教育的介入を行うために、予備調査として、睡眠健康と生活習慣に関する横断的な質問紙調査を行った(回答者148人)。調査内容は初年度に実施した質問紙調査と同様である。その結果、交替勤務者が続けて夜勤に従事する際、日中の飲酒や食事が睡眠や夜勤に従事している間の眠気と関連していた。ただし、夜勤明け帰宅後の入浴と睡眠や夜勤に従事している間の眠気は関連していなかったが、これは同事業所の職場内に大浴場があり、入浴してから帰宅する習慣が広まっているためだと考えられた。主たる睡眠の就寝時刻、二度寝の時間帯や長さ、運動習慣も、同様に関連していなかった。以上より、前回調査の結果が概ね確認された。ただし、主たる睡眠以外に(次の夜勤の前に)二度寝している人では、不眠症状の有症率が高く、夜勤後半の眠気が強かった。これに関しては、不眠の原因とも結果とも考えられた。 以上をふまえて、この事業所における睡眠教育を計画したが、事業所側の事情により実施が遅れたため(参加者約250人)、結果については現在データ解析中である。
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