交通外傷の予防をテーマに、A高校にて外傷予防教室を開催した。交通事故による心身への影響と共に、Haddon Matrixを用いた予防と対応についての講義を行い、高次脳機能障害を抱える患者と家族の講話、鏡文字の記述や片麻痺体験、一次救命処置と止血、固定法の演習、通学路の危険な場所のグループ学習を実施した。教室終了後に、授業評価と参加者の学習ニーズ調査を実施した。 カナダにおけるP.A.R.T.Y.(Prevent Alcohol and Risk-Related Trauma in Youth;若者のアルコールとその他の危険に関連した外傷予防教育)活動の実際と運営を知るために、ビクトリア市ビクトリア総合病院とトロント市サニーブルック健康科学センター、ならびにハミルトン市マックマスター大学を訪問して、プログラムの視察を行った。また、担当者よりプログラムの特徴と運用形態、参加者の反応について、我々が実施している活動への示唆を得るための討議を行った。 ハミルトン市はCommunity & Hospital Against Trauma(CHAT)と呼ぶ若者を対象とする外傷予防教育を実施していた。これは、P.A.R.T.Y.がボランティアを中心として民間からの寄付資金によって運営されていることと異なり、行政が主導的に実施していた。 高校生は在学中に必ず、この課外授業を履修しなければならず、救命救急センターや事故後のビデオを見て、一時的に体調を崩す生徒もいたが、全員が積極的に参加していた。今後の我々の活動に広く応用できる情報が得られた。 サニーブルック健康科学センターP.A.R.T.Y.Programのコーディネータよりアドバイスを受けて外傷予防教室のホームページを更新した。さらに、今後の活動として、伊勢原キャンパスでの外傷予防教室の開催に向けての準備と共に、2010年9月にロンドンで開催されるSafety 2010 World Conferenceにて、ポスターで活動を紹介する予定である。
|