研究概要 |
本研究は、65歳以上の要支援・要介護の高齢者を除くすべての高齢者を対象に行う生活機能、身体能力等に関する調査をもとに、運動器の機能向上や栄養改善等を目指した介護予防事業への参加群と非参加群の2群間における生活機能の変化を追跡調査し、介護予防事業の有効性を明らかにすることを目的としている。 今年度は、初年度にあたり、平成21年度調査の実施、平成20年度のベースライン調査結果の解析、地域包括支援センター保健師等との研究成果報告会議の開催を行った。 1.平成21年度調査;20年度調査に引き続いて記名式の自記式調査で郵送法を用いた自記式郵送による全数調査を実施した(5月)。調査項目は、性、年齢、基本チェックリスト項目、社会活動、主観的健康感、ライフイベントの有無であった。 2.平成20年度のベースライン調査結果の解析;データ管理者のU町で連結不可能匿名化されたデータを解析した。解析対象者は3,243人(男性:1,409人、女性:1,834人)(有効回答率80.1%)で、特定高齢者候補者904人(解析対象者の27.9%)、特定高齢者269人(同8.3%)、介護予防事業への参加者51人(同1.6%)であった。特定高齢者決定率が低いため、特定高齢者候補者を医療機関での生活機能検査受診の有無で2群に分け、性別、年齢区分、ADLを比較した結果、受診者に比べて未受診者は、日常生活動作能力が低下し、閉じこもりの割合が多く社会参加が少ない傾向が認められた。特定高齢者支援に加えて特定高齢者候捕者全体に対する支援の必要性が示唆された。次年度以降は当初の研究の遂行に加え、これら2群の追跡も実施していく予定である。 3.第1回研究成果報告会議の開催;地域包括支援センター保健師等と研究者との合同で研究成果報告を行った(3月)。介護予防に関する自治体と大学との共同研究はあまり見られないため、今後も会議開催や学会発表等で連携を深めていく予定である。
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