研究概要 |
U町在住の全自立高齢者4,050人に対して、平成20年5月にスクリーニング調査をベースラインとし、今年度は2年間の追跡結果を分析した。また、第2回研究成果報告会議を開催し分析結果を地域包括支援センターの保健師と共有し今後の検討課題を協議した。 1. 全自立高齢者4050人について、平成22年5月までの2年間における要介護状態の発生について分析した結果、2年間に214人(5.3%)に要介護状態の発生があった。最も発生割合が高かったのは、虚弱高齢者(特定高齢者候補者)の生活機能検査未受診者群で618人中87人(14.1%)、以下、同受診群286人中26人(9.1%)、調査の未回答群807人中46人(5.7%)、元気な高齢者2339人中55人(2.4%)の順であった。年齢区分別では、65-74歳50人(1.2%)、75-84歳116人(2.9%)、85歳以上48人(1.2%)に要介護状態の発生がみられた。 2. 次に、スクリーニング調査に回答のあった3,243人(80.1%)を2年間追跡し、その間の死亡者・転出者を除外した3,150人を解析対象者として要介護状態の新規発生について分析した。対象者を3区分(A:元気な自立群、B:二次健診受診群、C:二次健診未受診群)に分けて、Cox比例ハザードモデルを用いて、A群ぜに対するB群、C群の要介護状態の新規発生のハザード比を計算した。その結果、追跡期間中、168人(5.3%)に要介護状態の発生があった。性、年齢等の交絡因子を調整したB群、C群における新規発生のハザード比はそれぞれ1.78(95%信頼区間、0.46-4.18)、2.85(同、1.49-5.45)で、C群で有意に高値であった。二次健診未受診の虚弱高齢者は要介護状態発生リスクの上昇と関係があることが明らかになった。
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