研究概要 |
U町在住の全自立高齢者4,050人に対して、平成20年5月にスクリーニング調査をベースラインとした調査結果の分析を進め,投稿論文作成に着手した.また、第3回研究成果報告会議を地域包括支援センター保健師と開催し3年間の研究のまとめを報告した. 1.スクリーニング調査に回答のあった3,243人(80.1%)を2年間追跡し、その間の死亡者・転出者を除外した3,150人を解析対象者として要介護状態の新規発生について分析を進めた。対象者を3区分(A:非虚弱群、B:生活機能検査参加群、C:生活機能検査不参加群)に分けて、要介護状態の発生率とA群に対するB群、C群の要介護状態の新規発生のハザード比を求めた.ハザード比は,Cox比例ハザードモデルを用い,交絡因子として性、年齢,世帯形態に基本チェックリストの総合点を追加した.その結果,要介護状態の発生率は,男性ではB群とC群では同程度であったが,女性では,C群はB群の2倍以上となった.総合点を調整したB群とC群のハザード比は,それぞれ0.72(95%信頼区間、0.36-1.41)、1.17(同、0.67-2.04)でA群との有意差は認められなかった.虚弱高齢者の生活機能検査参加群と不参加群の要介護状態発生のリスクの違いは虚弱高齢者の元々の健康状態に起因することが明らかになった. 2.ベースライン調査時,「健康や生活面で気にかかること」についての自由記載欄に回答があった259人分の記述内容をデータとし,質的帰納的に分析した.その結果,抽出された13カテゴリーから,健康に対する気がかり,生活機能に対する気がかり,日常生活に対する気がかり,介護に対する気がかり,家族関係に対する気がかり,今後の人生に対する気がかりの6つの気がかりに分類した. 1,2の分析結果は,それぞれ論文としてまとめ投稿中である.
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