研究概要 |
[自己管理スキルと健診結果および保健行動との関連についての検討] 1. 21年度に実施した第1次調査結果の分析と報告 S県内の3市の特定健診結果説明会参加者2000名を対象に行った自記式質問紙調査(有効回答807)の結果、健診結果には、性、年齢が関連し、年齢を重ねることで予防的な保健行動をとるようになるという受診者の傾向が読み取れた。40、50代では体重管理と自己管理スキルの有意な関連が明らかになり、若い世代への保健指導で自己管理スキルに着目することの有効性が示唆された。しかし自己申告の健診結果での分析・検討という限界があった。本結果をフィールド市関係者に報告すると共に、第69回日本公衆衛生学会総会において報告した。 2. 第2次調査の実施 1次調査より精度の高い調査とするため、同一市の協力を得て、健診の結果、特定保健指導を要するとされた1500名を対象にメタボリックシンドローム改善に必要とされる、エネルギー収支、ストレス対処、体重・血圧等のモニタリング、保健行動の優先性、自己管理スキルについての自記式質問紙郵送調査を行い、市管理の健診結果と照合した。 有効回答が得られた678名を分析した結果、血圧、中性脂肪、HDL, LDL, BMI, γ-GTP, HbAlcの結果に共通して飲酒習慣との有意な関連が、中性脂肪と身体活動、HDLと食事時間の規則性、血圧とは食事速度、運動、リラックス時間、定期的な血圧測定との有意な関連が明らかになった。一方、自己管理スキルとの関連は認められなかった対象の平均年齢は64.6歳であり、学童・青年期の健康教育に有効とされる自己管理スキルが適用しにくいかとも考えられる。さらに詳細な分析を継続していく。本調査の結果は第70回日本公衆衛生学会総会において報告予定である。 次年度には第2次調査と同一対象者へ同一内容の縦断的調査を実施し、メタボリックシンドロームの改善と自己管理スキル、保健行動との関連の検証へと研究を進めていく計画である。
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