研究課題/領域番号 |
21592883
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
橋爪 祐美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40303284)
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キーワード | 勤労女性 / 老親介護 / 介護うつ / ワーク・ライフ・バランス / 夫婦 / 介護者 / 認知症 / 男女共同参画 |
研究概要 |
本研究の目的は、勤労者夫婦を対象に、妻(勤労女性)の老親介護と就労生活両立の際の、妻のこころの健康(抑うつ傾向の予防)のための介入プログラム考案と試行であった。 本年度は勤労者夫婦8組を対象にしたパイロットスタディを行った。研究デザインは、8組が実験群と対照群を兼ねたプレ・ポストテストとした。なおプログラムは、ワシントン大学看護学部Frances Lewis教授のスーパーバイズをもとに、次のようにデザインした。介入期間は勤労者夫婦1組当たり、約2か月間で実施後、1か月後、3か月後、6か月後、9か月後に質問紙調査を行う。今年度行ったのは、8組に対する2か月間のプログラムの実施であった。具体的には、女性対象に次の教材を用いた介入プログラムを行った。(1)勤労女性介護者の他者に日々の就労介護生活に関する本音を言わない(言えない)しんどさに関するパンフレットの提示、(2)(1)に関する女性の心情の吐露の促進("私の介護ノート"の4日間施行)(3)気分転換や余暇活動におけるセルフケアの推進に関するパンフレットの提示と2週間の実施促進。実施前後において、心理社会的側面と介護負担感等に関する質問紙調査および面接調査を行った。結果として、プログラム実施前後で、勤労女性の抑うつ傾向は、概ね改善される傾向が認められた。 また勤労女性を介して、研究に協力の同意の得られた配偶者4名に対して、妻の老親介護と就労生活両立を支援する配偶者としての思いや困難等について面接調査を行った。配偶者は、要介護者(老親)が配偶者の実親の場合も、妻の親である場合においても、妻と老親の板挟みになり何らかの精神的苦痛を体験していることが明らかとなり、妻の精神的健康のみならず、配偶者の精神的な支援について課題が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
勤労女性介護者を主な支援対象とした介入を実施する中で、女性の配偶者も、何らかの精神的健康を損ねる体験をしていることが明らかとなり、勤労女性介護者の精神的健康支援の上では、配偶者にも支援が必要となる、新たな課題が見出された。
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今後の研究の推進方策 |
研究の主軸は勤労女性介護者支援に重きをおきつつ、勤労女性の配偶者の精神的健康支援も視野に入れて、調査研究計画に関して検討を進めてゆく。これをもって、超高齢化社会における、老親(高齢者)の介護の社会的価値づけの向上、ひいては高齢者介護・看護の価値づけの向上に関わる調査研究の推進を予定する。
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