研究概要 |
個別対面式介入プログラムを評価した。対象は女性8人[平均年齢57.5(SD7.9)歳(レンジ45~65)、医療福祉産業従事。1人は早期退職後別職種就労。半数正規職員]と配偶者5人(ジョイント・セッション参加は4人)の13人であった。 プログラム前後の標準化された尺度値にWilcoxon符号付順位検定と抑うつ感尺度を従属変数とした線型単回帰分析を施した。介護負担感尺度の低下(p=0.063)と消極的コーピング行動の減少(p=0.039)を認め、自己開示の中央値はプログラム前後で同値で、女性が夫に否定的感情を訴える程度は同程度に保たれていた。女性の半数がプログラム実施前の時点で夫より家事介護分担支援を受けていた(天井効果)。平日余暇時間の中央値はプログラム前(90分)・後(60分)で、大規模調査の共働き夫婦の妻の余暇時間(130~210分)より短く、勤労女性介護者の平日の余暇時間確保は課題である。抑うつ感尺度と家事介護時間に正相関[B= 0.01, (95%CI, 0.00, 0.03), R2=.64 (ps < .05)]、夫に有りのままを受け入れられる感じ [B= -19.50 (95%CI, -37.83, -1.17), R2=.53 (ps < .05)]と役割受容尺度との間に負相関[B= -1.75, (95%CI, -2.67, -0.84), R2=.64 (ps < .01)]を確認し、これらが女性の抑うつ感に影響する可能性が考えられた。夫に妻へのサポート不全に関する罪悪感と低い自尊心が生じている可能性が確認された。 夫婦双方が老親介護生活適応に際し様々な感情を抱いており、配偶者に精神的サポートを期待するものの、具体的技術を持ち合わせないためストレスを抱え込み解決を諦めた結果、妻が介護うつに至る可能性が考えられ、今後探索的研究により検討する必要性が導き出された。
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