1.研究の目的 薬物と薬物関連問題に対する態度尺度(the Drug and Drug Problems Perceptions Questionnaire)の日本語版の信頼性と妥当性を明らかにすることを目的とした。 2.対象者:15の医療観察法病棟に勤務している看護師594名。 3.方法:薬物と薬物関連問題に対する態度尺度(the Drug and Drug Problems Perceptions Questionnaire)を著作者の許可を得て日本語版を作成した。尺度の信頼性を確認するためにクロンバックのα係数を算出、表面妥当性の検討として5つの下位尺度をもつ看護師の職業的アイデンティティ尺度、内容妥当性のために因子分析(主因子法、Promax回転)を実施した。また調査対象者に受け持っている患者の診断名の記載を依頼した。 4.結果 対象者のうち調査項目にすべて回答した301名を分析対象とした。クロンバックのα係数は調査項目全体では0.908であった。因子分析の結果『必要な知識』『他者からの支援』『職業満足度』『対応困難』『確かな自信』の5因子が抽出された。対象者全体の職業的アイデンティティ尺度との相関係数は-0.330であった。しかし薬物依存症者16名を受け持っている対象者のみを抽出すると、相関係数は-0.632であり、強い相関が認められた。各因子との相関係数も『必要な知識』と職業的アイデンティティ尺度の「患者に必要とされる存在」(-0.580)、『他者からの支援』と「患者に貢献する職業としての連帯感」(-0.717)、『職業満足度』と「患者に必要とされる存在」(-0.610)『確かな自信』と「患者に必要とされる存在」(-0.588)と高い値を示した。 5.考察 薬物と薬物関連問題に対する態度尺度の下位尺度は信頼性と妥当性が確認され、有用であると思われた。また本研究の結果から、知識を持って援助することによって自信を持つことができる可能性があることが示唆された。
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