1.研究の目的 医療観察法病棟で薬物関連障害問題を合併している重複障害対象者に関わる看護師の変化していくプロセスを明らかにすることを目的とした。 2.方法 医療観察法病棟に勤務し、薬物関連障害を合併する対象者と多く関わる薬物関連障害プログラムを担当している看護師を対象者とした。プログラムにおいて苦慮している点や改善すべき点などについて半構成的個別インタビューを行った。分析方法は、修正版グラウンデッドセオリーアプローチの手順を用いた。倫理的配慮として、研究者の所属している研究倫理委員会の承認を得て実施し、対象者には文書を示しながら口頭で説明し、署名を以て同意とした。 3.結果 対象者は4カ所の医療観察法病棟で開設時から勤務する看護師5名であった。精神科看護師経験は8年以上であった。インタビュー時間は48分~64分であった。医療観察法病棟に勤務する看護師が発展していくプロセスは〈わからずに不安な時期〉〈対象者理解が深まる一方、他医療者の協力が得られにくい葛藤の時期〉〈病気について理解しやりがいを感じる時期〉のプロセスをたどっていた。 4.考察 看護師は薬物関連問題について、学習する機会が得られなかったためか、不安になりながら、関わり方を模索していたと思われた。プログラム担当になることで、学習の機会を得、他者に支えられることで、チームで関わることの重要性に気づいていた。さらにプログラムを実際に運営する中で、プログラムや日常の関わりをよりよくする方策を見いだしており、これらを他の医療者にも広めていく必要性が示唆された。
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