1.研究目的 (1)国内外の緩和ケアエキスパート・家族に対するナラティヴ・インタビューを実施し、さらにフィールドワークによる患者観察を行うことによりデータを収集する。それらのデータから「がんと認知症をともに持つ高齢者・家族の緩和ケア評価指標に必要な要素」を構造化する。 (2)がんと共に生きる認知症高齢者・家族・ケア提供者の倫理的問題の論点整理を行い、「がんとともに生きる認知症高齢者・家族に対する緩和ケア評価指標」に必要な倫理的要素を構造化する。 (3)AとBをもとに、「がんと認知症をともに持つ高齢者・家族の緩和ケア評価指標」の試案を開発し、モデル病棟によるエキスパートパネルを実施する。 2.研究の成果 国内外の緩和ケアエキスパートへのインタビューとしては、日本で実施された国際フォーラムで、米国における認知症緩和ケア実践について重要な情報収集を行うことができた。北欧と米国、日本の医療制度や文化的背景による認知症の先端医療に関する倫理的課題も整理できた。また、米国の乳がん医療に精通しているエキスパートからインタビューを行うことで、女性高齢者の視点からの示唆も得た。フィールドワークでは、認知症ケアのユニークな取り組みをしている宅老所で、緩和ケアにおいて重要なナラティヴ・アプローチの高齢者への応用を観ることができた。緩和ケアの重要な要素である「スピリチュアルケア」としてのコミュニケーションや家族の視点を、日本版として構築する示唆を得た。
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