研究目的の一つである「重度認知症高齢者ひとりひとりの概日リズムの明確化」のため、平成21年度からアクティウオッチ(米国ミニミッター製)による一人4週間の情報収集を継続して行ってきた。この結果、認知症高齢者の概日リズムは、昨年度同様ほぼ24時間の概日リズムが保たれた人、昼夜逆転パターン、不規則な睡眠・覚醒のパターンをもった24時間パターン、さらに概日リズムの崩壊を疑わせるパターン等種々みられた。注目すべきは、概日リズムの崩壊を疑わせるパターンを示した人のうち、一人は72時間周期の可能性があり、単純な崩壊ではない可能性が示された。 上記の結果より、画一的なリハビリテーションの集団評価は実情に合わないと思われた。昼夜逆転をもとに戻さなければならないのか、介護者のリズムに合わせなければならないのか。このため、「継続的なリハビリテーションの概日リズムへの影響」把握に関しては、まず概日リズムが比較的保たれている対象者に個々のメニューを考え、タクティールケアを施行している。この結果、個人別では3人に睡眠継続時間の延長が認められた。しかしケア対象者全員に共通した改善はまだ見出されていない。 3年目以降も概日リズムの恒常性を継続して検討していくと同時に、継続的なリハビリテーションの概日リズムへの影響把握を行う。
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