本年度は、21年度、22年度に行った研究の成果(在宅療養中の高齢者の栄養状態の実態報告、在宅栄養スクリーニング表作成)を各学会にて報告した。栄養状態の実態では、在宅療養者に比べ入所者の栄養状態が有意に低かった。食事環境では、買い物や食事の支度が一人でできない人、食事の介助が必要な人に低栄養群が多く、配食サービスの活用や食事介助の実施など十分な食事をとるための環境を整えることが必要と示唆された。また、食後口の中に塊が残る、水分・食物でむせる、口臭がある人にも低栄養群が多く、摂食・嚥下のアセスメントや口内環境に関する介入が必要であることを報告した。在宅栄養スクリーニング表では、在宅療養者の栄養評価の重要性から非侵襲的に栄養状態を評価できるスクリーニング表を公開した。 高齢者は慢性疾患、生理機能低下などから栄養不良に陥りやすく、今回の調査でも約半数が軽度~高度の低栄養状態であった。低栄養状態はADLやQOLの低下に直結し、医療や介護が必要な要因となる。この非侵襲的栄養スクリーニング表を活用することで、低栄養状態の予防活動の示唆を得ることができるとともに、介入点を知る指標となる。
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