平成21年度は、平成22年度は、3県(岡山県、福岡県、山口県)において高齢者虐待防止や支援に従事している職員と被虐待高齢者・家族を対象に、看護職と被虐待高齢者・家族支援に必要な教育プログラム内容について調査を実施した。その結果、被虐待高齢者・家族支援に必要な学習項目として、介入困難な事例への介入方法、保護分離の判断の仕方、被虐待高齢者の実態、家族(虐待者)の思いへの対応等が明らかになった。そこで、これらの項目を取り入れた看護職と被虐待高齢者・家族支援の実践教育プログラムを作成した。 平成24年度は作成した実践教育プログラムの有用性の検証を行った。高齢者虐待防止に関する業務に従事している看護職、県・市町村職員、地域包括支援センター職員等を対象に研修会を4回実施した。研修方法は、講義とグループワークとした。講義は、高齢者虐待や処遇困難なケースに対する介入・支援の方法を中心とした内容であり、グループワークは、参加者が職務において取り組んでいる事例を用いて、検討を行った。研修会終了直後と3ヵ月後にプログラム内容、研修方法等について、アンケートのよる評価を行った。 その結果、看護職と被虐待高齢者・家族支援の実践教育プログラム内容は、高齢者虐待防止に関する基礎知識の獲得、高齢者虐待・処遇困難事例への対応方法、ケースに対するアセスメントから介入計画の立案・実施・評価までの取り組み方の理解、予防的視点、コミュニティ・アプローチの重要性の理解であった。研修方法は、講義や実践事例を用いたグループワークによる検討会等をとおして、実施することの有用性が示唆された。
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