研究課題/領域番号 |
21592898
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
東 清巳 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90295113)
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研究分担者 |
鈴木 志津枝 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00149709)
植田 喜久子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (40253067)
永井 眞由美 広島大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (10274060)
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キーワード | 高齢者 / 終末期がん / 家族 / 在宅ケア / 介入研究 |
研究概要 |
「在宅移行介入モデル」の有用性を検証するため、A県およびB県下のがん診療連携拠点病院等に入院中の高齢終末期がん患者と家族に対して、在宅移行支援の経験を持つ看護師に「在宅移行介入モデル」を用いて介入してもらった。そのプロセス(訪問看護師等との退院時カンファレンスを含む)を介入シートならびにカンファレンスシートに記入してもらい、質的に分析した。 本年度の最終的な介入事例は7医療機関に入院している高齢終末期がん患者と家族のうち、本研究の主旨に同意が得られた16名(うち1名は病院で死亡の転帰をとった)の患者と家族、その在宅移行に関わった16名の看護師、訪問看護師、ケアマネジャー各5名である。 その結果、すべての看護師は4つのテーマキーとそれぞれに2から5個のテーマ群を持つ「在宅移行モデル」のうち、【在宅療養に価値をおく】【在宅移行への安心を保証する】【在宅移行のタイミングをのがさない】【ネットワークを強化する】の全ての介入方法を用いていた。新たに、【在宅移行への安心を保証する】のテーマ群として〔つながりの中で介護することを実感してもらう〕や〔患者家族が希望する生活の在り方を実現する〕が、【在宅移行のタイミングをのがさない】のテーマ群として〔段取りよくすすめる〕〔積極的な治療が有効でないことを納得してもらう〕が見いだされた。12事例に訪問看護師やケアマネジャーとの退院時カンファレンスが開催され、患者と家族が退院後の見通しをつけられるように介入し、在宅移行後も同じ訪問看護師、ケアマネジャーの介入によって、7事例が自宅での看取りとなった。研究参加に際しては、「在宅移行介入モデル」の講義を病院もしくは病棟単位で実施し介入を開始したが、看護師たちへの半構造化面接調査では「在宅移行介入モデル」が意図的に用いられていたかは疑問であり、「ケアに意味づけがなされていない」多くの状況が語られた。 次年度は、さらに15事例の介入対象者を確保し、21年度と同様の介入を依頼し、さらに家族(遺族)への半構造化面接調査を行い、「在宅移行介入モデル」の有用性、問題点を検証していく。
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