平成22年度は、エンパワメントプログラムの開発につながる要素の詳細な検討を行った。まず、エンパワメントプログラムのアウトカムについて検討した。脳卒中発症の動向、脳血管障害の重篤度と回復過程における看護ケアの課題について、先行研究の文献検討、ならびに脳外科病棟で働く看護師へのグループインタビューを行った。回復過程における看護ケアについては、脳血管疾患による後遺症の回復に看護ケアの焦点が置かれ、基礎疾患のコントロールに必要な生活指導やセルフケア能力を高めるための支援が十分ではない状況が確認された。また、脳卒中の発症状況は、脳梗塞が増加しており、軽症例の占める割合が多く生活指導を充実させることは、再梗塞を予防することに貢献し、ひいては要介護状態を予防することにつながると考えられた。 脳外科病棟で働く看護師へのグループインタビューからは、脳血管疾患患者に対する生活指導が十分できていないと評価しており、どの看護師でも同じレベル生活指導が実施できるための教育媒体を求める意見が出された。 以上の検討を踏まえて、本プログラムは脳卒中の中でも脳梗塞に焦点をあて、基礎疾患のコントロールにつながる療養生活行動に関するセルフケア能力を高めることを目標とする。さらに、この目標にかなったプログラム内容を抽出し、先行研究で作成した教育媒体の改訂版を作成するために、脳梗塞患者の退院後のセルフケア能力に関する調査を計画し、現在実施している最中である。
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