介護老人福祉施設おいて認知症高齢者の事前意思を尊重した終末期ケアの看讓の構成要素を抽出することを目的とした。25施設の看護管理者から、施設の体制、終末期ケアの施設の方針、看取り指針作成状況とその内容、「認知症高齢者に良い終末期ケアができたと感じている事例」に関するデータが得られた。 分析の結果、認知症高齢者の事前意思を尊重した終末期ケアの看護の構成要素とその関連が導かれた。認知症高齢者の意思確認は【看取りに対する高齢者の意向を把握する】【高齢者の人柄や好み、なじんだ事柄を把握する】により行われていた。高齢者の意思をケアに取り入れる際には【なじんだ人や事柄に親しめるようにする】【意向を確認しつつケアを行う】【些細なこだわりも意思として尊重する】【家族に対して高齢者の意向や気持ちを代弁する】【記録物に残されている意思を尊重する】などの方法を用いていた。看取り後のケアの振り返りは、【家族の満足感】【ケア場面における高齢者の表情やしぐさ】【高齢者の体調の持ち直し】などを視点としていた。 認知症高齢者は、言語的コミュニケーション表現能力に限りがあるが、高齢者の表情やしぐさにより満足・不満足を表現することが可能な存在である。この表現を日常生活ケアにおける高齢者の意思としてケアに活用することが重要である。ケアの振り返りの際には、高齢者の体調と満足感という心身の二側面から捉えること、同時に家族の看取りに対する満足感にも焦点をあて、個別にケアを振り返ることが重要である。
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