介護老人福祉施設おいて認知症高齢者の事前意思を尊重した終末期ケアの看護の構成要素を抽出することを目的とした。25施設の看護管理者から得たデータから14事例の看取りに関する認知症高齢者の事前意思の把握方法、ケアへの活用方法、看取り後のケアの振り返りついて分析した。その結果、[ケアを計画する上で必要な情報の収集]として【高齢者の事前意思を把握する】【高齢者の人柄・好み・生活スタイルを把握する】が抽出され、[ケアの実際]として【なじんだ人や事柄を尊重し、その継続を支える】【事前意思を直接確認しつつケアする】【どのような内容であっても捉えた事前意思を尊重する】【高齢者の事前意思と状態を家族に発信する】【記録に残されている事前意思を尊重する】が抽出された。さらに、[事前意思を尊重したケアを振り返る手がかり]として【家族の満足感とケア提供者への感謝】【日々のケアに対する高齢者の表情や言動】【体調の持ち直し】【好み・なじみの尊重】が抽出された。これらは、事前意思を尊重した終末期ケアとその振り返りにおける構成要素と考えられた。 高齢者の人柄・好み・生活スタイルを把握することは、事前意思の活用、ひいてはケアを振り返ることにつながる。このケアの決定と実施の過程において家族の主体的参加を促し日常生活を継続できるよう積み重ねることが事前意思を尊重したケアを実現させる。 実施したケアを振り返ることは、終末期ケアの質向上のみならず、ケア提供者のモチベーションの維持にも貢献する。ケアを振り返る際の視点として、4つの手がかりは有用と考えられる。
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