研究概要 |
地域包括支援センターが開催する体操教室等へ参加する自立・要支援を含む高齢者の睡眠実態を明らかにするために60名(男性10名,女性50名,平均年齢78.3±6.6才)を対象にADL,健康状態,生活満足度や睡眠に関する生活習慣についての質問紙調査を実施した。 対象者のADLはほぼ自立で、健康状態は、86.0%が定期的に通院中であるが、81.7%が「健康~ほぼ健康」と回答していた。対象者の睡眠実態として、就床時刻と起床時刻から算出された夜間の臥床時間は8.1±1.4時間だが、自己申告による実質の睡眠時間は平均6.7±1.5時間と一時間以上の差が認められた。 14項目からなる睡眠健康危険度(田中ら2004)は、42点満点で高得点ほど危険度が高く、本対象者では平均12.1±4.4点、その内訳は、、睡眠維持の障害が6.3±23点と最も高得点であった。睡眠の深さは、63.9%が「熟睡~ほぼ熟睡」とする一方、大半が夜間1から3回の中途覚醒があり、「中途覚醒なし」はわずか13.3%にとどまった。次いで入眠困難得点2.6±2.1点、起床困難得点2.0±1.2点の順に高かった。睡眠時無呼吸得点0.9点や随伴症状得点0.5点は共に低かった。100点を最も眠いとする日中の眠気は37.6点であった。 睡眠実態と対象者の特性との関連において、前期高齢者と後期高齢者では、臥床時間と入眠困難感得点に有意差(p<.05)が認められた。また、睡眠危険度得点(p<.05),日中眠気(p<.01)と睡眠時間は負の相関、年齢と臥床時間は有意な正の相関(P<.05)を示した。老研式活動能力指標やうつ尺度(GDS)、生活満足感尺度との関連では、生活満足度と入眠困難感、起床困難感に負の相関(pく.05)が認められた。
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