本研究は、在宅精神疾患患者の睡眠習慣に関するセルフケアカを高める援助により、生活リズム改善を図るプログラムを開発しようとするものである。精神疾患患者が在宅生活を維持していくためには、精神疾患のコントロールとともに、睡眠をはじめとする生活リズムを整えるセルフケアがとても重要である。睡眠に関する基本的な知識と改善方法を学習することによって、精神疾患患者自らが生活リズムを整えるセルフケア能力を獲得すれば、地域での生活の自立・就労の促進、QOLの向上など大きな効果が期待できる。 まず、プログラム開発の基礎データとして、在宅精神疾患患者の睡眠習慣等生活リズムの実態把握を行った。対象は20歳以上の精神科デイケア利用者9名。睡眠日誌から起床・就床時刻等を把握し、アクティウォッチ(腕時計型の活動量計)により就床中及び起床後(日中)の睡眠・覚醒を判定した。また、質問紙により、睡眠健康(睡眠健康危険度尺度)、起床時睡眠感(OSA睡眠調査票MA版)、眠気(Epworth眠気尺度)を把握した。 就床・起床時刻は概ね規則正しい者が多かったが、短時間睡眠を不規則に繰り返す深刻な睡眠障害の者もみられた。睡眠健康では、対象者全てに何らかの睡眠障害が疑われ、種別では、入眠困難、早朝覚醒等睡眠維持に関するものが多かった。また、睡眠リズムや昼間の眠気、睡眠感の低さ等、様々な問題があることが明らかとなり、睡眠改善に関する援助の必要性が示唆された。 プログラム検討のため、年齢、活動量(光暴露量を含む)、睡眠指標との関連について分析を行った。昼間の活動量と睡眠効率あるいは寝つきとの間に相関関係はみられなかったが、眠気尺度点と睡眠感、活動量と昼間の光暴露量の間に、有意な相関がみられた。今後さらにデータ収集・分析を進め、援助プログラムの検討を行っていく予定である。
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