【全期間を通しての目的】薬物依存症の治療や回復支援に関連する多領域の理論や概念との系統的な検討を行いながら、薬物依存症者への看護の質的変化と看護師の体験に焦点をあてたインタビュー調査を行い、薬物依存症者への看護についての考え方や概念を明らかにしていき、実践的な理論の基盤を構築する。 【本年度の目的】研究代表者がこれまでに行ってきた研究から明らかになった、薬物依存症者への看護において重要と思われる事象や用語について、系統的文献検討を行い、薬物依存症者への看護を説明するのにふさわしい概念を明確にする。 【本年度の実施】 文献検討:これまで行ってきた薬物依存症者への看護に関する研究結果の再検討及び、これまでに薬物依存症の看護を説明する上で意味あることが確認された用語(「消極的能力」「無力感」「転機」「コラボレイティヴ・アプローチ」等)のうち、「消極的能力」と「無力感」についての文献を収集し、検討を行った。現在、分析途中であり、薬物依存症者への看護におけるこれらの用語の概念の再定義は、次年度の課題とする。 インタビュー調査:「薬物依存症者への看護において自身の考え方や実践が変化していった体験を有する看護職者」へのインタビュー調査に向けて、研究協力依頼施設の抽出及びアクセス方法等、具体的な研究計画を明らかにした。そして、調査実施に向けて、大阪市立大学大学院看護学研究科の倫理審査委員会の審査を受け、承認を得た(平成22年1月末)。まずは、薬物依存症者への治療を専門的に行っている施設うち数カ所に依頼を行い、一部より協力への承諾を得て、インタビュー実施に向けて日程を調整した。
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