【全期間を通しての目的】薬物依存症の治療や回復支援に関連する多領域の理論や概念との系統的な検討を行いながら、薬物依存症者への看護の質的変化と看護師の体験に焦点をあてたインタビュー調査を行い、薬物依存症者への看護についての考え方や概念を明らかにしていき、実践的な理論の基盤を構築する。 【本年度の目的】平成21年度に行ってきた文献検討の結果を分析・考察し、薬物依存症者への看護を説明するのにふさわしい概念を明確にする。また、それらの結果をもとに、薬物依存症者への看護の実践者にインタビューを行い、看護の質的向上への転機の様相を描き出し、ケアの転機に関連する事象や特徴を明らかにする。 【本年度の実施】 概念の明確化:看護における「消極的能力」及び「無力感」についての概念検討に加え、保健医療領域以外の領域においての検討を加え分析を行った。結果の公表は次年度の課題とする。 薬物依存症者への看護の実践者へのインタビュー:インタビューへの協力が得られた、薬物依存症者への治療を専門的に行っている4つの病院(関東地区、関西地区、中国地区)にて、インタビュー参加者を募り、同意の得られた計14人の看護師に、4月~9月に半構造化インタビューを行った。インタビュー時間の総計は、約850分で、平均60分(最短25分、最長95分)であった。インタビュー内容は、(1)薬物依存症者への看護実践や考え方の変化について、(2)変化に関連する体験談、(3)薬物依存症者への看護において重要と思うことであったが、行ったインタビュー内容をふまえながら焦点を絞りながら、インタビューを行った。録音されたデータは、逐語録におこした。平成23年3月現在においては、データの分析中である。
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