(1) 手術を受ける認知症高齢者の術前から術後の期間で、家族との協働の必要性がある内容、時期、所要時間を明らかにし、個別ケアプラン作成基準の基礎的情報を得ることを目的とした。また、(2)家族との協働において重視すべき内容を明らかにすることを目的とした。 (1) について、対象はA県内の地域中核病院であるB病院に入院し、大腿骨頸部骨折手術を受ける80歳以上の高齢者10名とした。このうち認知症あり群5名、認知症なし群5名に分け、術前から術後の8日間における看護必要量を、看護所要時間と看護記録字数量を測定し、両群を比較分析した。その結果、認知症あり群の看護所要時間は8日間合計、1日ごと、勤務時間帯ごとのいずれも認知症なし群に比べ長かった。ケアの内容では安全・安楽に関する内容が特に長く、観察・処置、日常生活援助もなし群に比べ長かった。 (2) について、対象はA県内の地域中核病院であるC・D病院の整形外科に勤務する看護師各6名で、フォーカスグループインタビュー調査を行った。その結果、認知機能のアセスメント、身体・精神状態のアセスメント、BPSDとその対応、夜間せん妄とその対応、危険行動と危険を予測した対応があがった。 以上の結果から、個別ケアプラン作成にあたって含まれる内容として、患者の認知機能と身体・精神機能のアセスメント、BPSDや夜間せん妄に伴う危険行動の予測と危険行動への対応が、家族との協働ケアに含まれる中心的な内容であり、期間は周術期を通した期間、時間帯は日中および夜間であることが確認された。
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