平成23・24年度は家族と看護師が協働して行う周術期ケアプランの作成・実践・評価、結果分析からのケアプランの標準化を研究目的とした。 1公立病院外科病棟において、家族と看護師の、入院時からの認知症患者情報の共有と情報を活用した療養環境の調整、入院中の家族機能の活用、せん妄発症時の睡眠環境調整のための外泊の効果について検討した。その結果、外泊群は在院群の約半数の日数でせん妄症状が消失し、認知症高齢者の術後せん妄の改善に自宅外泊が有効であることが示唆された。また、入院時の患者情報を家族と看護師が共有することにより、家族の不安軽減や患者への積極的な介入が生まれた。 次に、実践したケアプランの結果を分析・評価し、標準化を目的として、手術・外科的治療を目的とする認知症高齢者が多く入院する2つの病院の循環器系病棟で働く、中堅以上の看護師、病棟管理者を対象としたフォーカスグループインタビュー、個別インタビューを実施した。その結果、手術を受ける認知症高齢者の周術期ケアとして、①これまでの生活情報から導かれた認知症の行動・心理症状の把握と効果的な対応方法を含む術前ケア、②慣れ親しんだ環境づくりと、家族が提供するパーソナルケアによる患者の安心と安全を守る術後ケア、③家族の安心と患者の安心の相互作用を導く看護介入、の3つの骨子から構成された、手術を受ける認知症高齢者の周術期ケアの標準化プランを作成した。 今後は本プランを活用した認知症高齢者に対する周術期ケアを実践し、さらに評価・修正を加える必要がある。
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