研究課題/領域番号 |
21592927
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
柳原 清子 東海大学, 健康科学部, 教授 (70269455)
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研究分担者 |
岡部 明子 東海大学, 健康科学部, 准教授 (90287053)
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キーワード | がん患者の家族 / 意思決定支援 / 家族看護 / 家族間コンフリクト / 家族-医療システム間コンフリクト / 看護師の家族支援 |
研究概要 |
昨年度は、臨床および在宅における「家族のシステム変動」の研究に着手した。家族システムの変動とは、家族成員問での生活変化や役割変化また関係変化であるが、その中でも関係変化をとらえることに着目した。家族の関係性とは大きな概念で、その要素は家族員間のパワーバランスや、心理的距離感、ダイナミックス、コミュニケーション、強さと維持機能、相互作用など多くのものを含んでいる。本研究では、システム変動としての関係性の変化、その中でも家族内外において生じている相互作用の悪循環、っまりコンフリクト(軋礫やもめごと)に焦点をあてた。 研究としてまず、コンフリクトの成り立ち(相互作用の悪循環)を分析し、家族-医療者コンフリクトを10パターンに、家族内は7つのパターンに分類整理し、『渡辺式家族アセスメント10』と『渡辺式家族関係パターン7』と命名し、モデルを完成させた。 最終年の今年度は、このモデル化したものを家族療法学会、家族看護学会および国際家族看護学会で公表した。また多くの事例検討会やセミナーで、このモデルを使って事例分析し、臨床(在宅含む)での応用をはかった。 一方で、これまで作成した家族の「意思決定モデル」-状況認識・個人認識・関係認識から、家族としての態度を伴って、選択肢をフィルターにかけながら決定していく-と、相互作用から見た合意形成プロセスとの関連を考えた。家族の意思決定プロセスは2つの段階からとらえる必要があり、最初は家族員間での合意形成過程であり、次のステップとして、家族(システム)-医療者間での合意形成過程がある。また状況認識・個人認識・関係認識としたものは、統合して「文脈」としてとらえることが妥当であり、家族内での家族員同士の文脈の擦り合わせと、家族(システム)としての文脈と医療者の判断との擦り合わせを調整していくことが、家族への意思決定支援である。本研究でこれらの構造を明らかにした。
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