本研究は在宅緩和ケアにおける「予期悲嘆への介入を含むグリーフケアシステム」を構築することを目的に、(1)在宅緩和ケアにおける家族の予期悲嘆適応尺度の作成、(2)予期悲嘆介入プログラムの開発、(3)遺族会における死別後のグリーフケアの試行を行うものである。平成21年度には、「予期悲嘆適応尺度」を作成しその信頼性、妥当性を検証する調査を行った。調査は2009年8~12月に実施し、その結果、在宅で終末期を過ごす人を介護する家族99名(女性84名、男性15名、平均年齢58.9歳)から回答を得た。また、比較群として終末期でない人を介護する家族にも調査し68名からの回答を得た。尺度の質問項目原案は、我々の先行研究および文献より51項目作成し、項目分析で24項目を除外し27項目で因子分析(最小二乗法-プロマックス回転)を行った。4因子19項目の尺度となり、第I因子【お別れ準備へのスピリチュアルペイン】、第II因子【身体と生活の疲労感度】、第III因子【死別への先行不安】、第IV因子【消耗状態】と命名した。Cronbach's α係数は、全体得点で0.87、各因子0.7以上あり、内的整合性が確認された。日本版GHQ28を外的基準とした併存的妥当性、対象者と比較群の違いによる弁別的妥当性が確認できた。当初設定した構成概念もほぼ一致がみられた。またこの尺度を活用して、看護介入への必要性をスクリーニングできるように、25点を適応度合い区分点に設定した。 これらより作成した「在宅緩和ケアにおける家族の予期悲嘆適応尺度」は、信頼性、妥当性が確認され、これを活用して、家族の予期悲嘆の適応状況の高低が判断できるため、本研究の(2)とする研究に組み込むことが可能になり、継続して研究をすすめる予定である。
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