本研究は在宅緩和ケアにおける「予期悲嘆への介入を含むグリーフケアシステム」を構築することを目的に、(1)在宅緩和ケアにおける家族の予期悲嘆尺度の作成、(2)予期悲嘆介入プログラムの開発、(3)遺族会における死別後のグリーフケアの試行を行うものである。平成21年度には「予期悲嘆尺度」を作成し、その信頼性、妥当性を検証する調査を行った。この予期悲嘆尺度は、4因子からなり、それは、第I因子【お別れ準備へのスピリチュアルペイン】、第II因子【身体と生活の疲労感度】、第III因子【死別への先行不安】、第IV因子【消耗状態】とし、その信頼性、妥当性を確認した。平成22年度は、主にこれらの調査成果を研究論文としてまとめる作業をおこなった。論文をまとめた結果、予期悲嘆介入プログラムの開発という次のステップに行く前に、この尺度の臨床的な有用性を検証する必要性が明らかとなった。具体的には、本尺度は、19項目を0~3点の4段階の合計した尺度得点で評価するが、尺度得点が高いほど予期悲嘆が高く、在宅で看取りを行う家族に不適応な状態をおこしているものとしている。それを判定するための、つまり予期悲嘆の適応か不適応かの区分点を、最初の調査結果から、仮に25点と設定した。そこで、在宅で看取りを行う家族に対して本尺度を使用し、訪問看護師の臨床判断と一致させて区分点を再度検討することにし、そのための研究計画書作成までをおこなった。今後この計画を実際に推し進め、予期悲嘆介入プログラムの開発へとつなげて行く予定である。
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