研究概要 |
本研究は在宅緩和ケアにおける「予期悲嘆への介入を含むグリーフケアシステム」を構築することを目的とする。平成21~22年度には在宅で終末期を迎える人を介護する家族の「予期悲嘆尺度」を作成しその信頼性、妥当性を検証する調査を行った。その結果、在宅で終末期を迎える人を介護する家族99名(女性84名、男性15名、平均年齢58.9歳)から回答を得た。また、比較群として終末期でない人を介護する家族にも調査し68名からの回答を得た。尺度の質問項目原案は、我々の先行研究および文献より51項目作成し、最終的に4つの因子【お別れ準備へのスピリチュアルペイン】【身体と生活の疲労感度】【死別への先行不安】【消耗状態】19項目で0~3点の4段階で評価し合計得点とするものである。 平成23年度は、作成した予期悲嘆尺度を実際に事例に実施し、臨床実践の場における尺度の実用可能性を検討した。実用可能性を(1)尺度得点の妥当性の解釈,(2)尺度の使用可能性,(3)尺度得点結果の訪問看護への活用の3つとし、7事例に実施して検討した。その結果、まず尺度得点の妥当性として、在宅での看取り支援に十分経験のある看護師からの臨床評価との差異がなかったことを確認した。次に7事例とも2~3分で対象者に心理的な負担なく問題なく実施できたことより、使用可能性を確認した。さらに事例の検討により看護師が見逃しやすい状況も本尺度を活用して早期に予期悲嘆を把握し、下位尺度の結果も活用して家族への看護援助に生かせることがわかり、本尺度の実用可能性が十分期待できることが示された。 今後は本尺度を活用した予期悲嘆への介入プログラムを作成していく予定である。
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