研究概要 |
糖尿病を併せ持つ精神疾患患者の糖尿病自己管理に向けた介入研究を行っている。具体的には当該の精神科病院に入院中もしくはデイケア通所中の糖尿病を併せ持つ精神疾患患者6名を対象とし,患者参画型糖尿病教室を実施し,患者のやる気と自己教育力の育成をめざしている。 研究実施予定の精神科病院において研究協力者を募集し,精神科医師1名,栄養士2名,看護師5名と共に糖尿病および参画理論に関する学習会を4回実施した。その後参加者に対して,2週間に1回のペースで患者参画型糖尿病教室を開催している。まず,糖尿病に関する知識をKJ法により整理し,知りたいことや取り組んでみたいことを明らかにし,それに沿って学習計画を立案した。糖尿病に関する知識として,どんな疾患でどのような副作用があるのかは理解できている患者が6名中4名,ほとんど理解できていない患者が2名であった。しかし全員が,どうして血糖が高くなるのか,インスリンの役割は何か,なぜ運動が必要なのか等,糖尿病のメカニズムに関して理解できておらず,様々な疑問が出された。また,運動や間食について具体的な方法が理解できていないことや,清潔などの日常生活での留意点に関してほとんど知識がないことも明らかとなった。そこで,自分たちの食生活を知ることを目標に,各自が1週間食事やおやつをデジカメで撮影し,栄養士に分析を受けた。運動に関して,万歩計を貸与し1週間測定した。それを元に自己の目標を設定し,発表会を行うようにした。 6か月後,「デジカメで食事を撮影すると意識してよい」「万歩計をつけて意識的に歩くようになった」などの言葉が聞かれ,6名中4名にデータ状の改善と体重減少がみられた。2名に関してデータの改善はみられていないが,そのうち1名は,実際に摂取した量をありのままに報告できることを目標にし,間食制限を開始した段階にある。 今後は,1~2か月に1回程度,各自の目標を自己評価しながらフォローアップ研修を実施していく予定である。参加者および研究協力者のインタビュー内容を分析し,意識の変化を明らかにする予定である。また,新たな施設においても患者参画型糖尿病教室を開催する予定にしている。
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