研究概要 |
患者参画型糖尿病教室を企画した目的は,患者の参画力(自らそこにコミットメントし,課題解決に向かう行動を企画・実施・評価・伝承していく力)を育成することである。 A精神科病院とB精神科デイケアにおいて,6~8名のグループを作り,1か月に1~2回の割合で教室を開催した。その進め方は,まず,患者に糖尿病に関して知っていることを書き出してもらい,KJ法により既知と未知を整理する図解を作成する。図解をもとに,メンバー参画により学習会を企画していくものである。何回か学習会を実施した後に振り返りを行い,各自が目標設定をするセッションを取り入れるようにした。Aグループは2年以上,Bグループも1年以上継続し,その効果を糖尿病検査データの推移で実証できた(石橋,第5回島根看護学術集会論文集,2010)(石橋,第2回日中韓看護学会,2010)。 今年度は,患者の振り返りの語りから,アウトカムとしてのエンパワメントを抽出し,「オープン性の高まり」「現実に立ち向かう意欲」「自己成長」「生活の質の改善」「能力の開花」「希望の感覚」「コントロール感」「自己決定」のパワーが高められたことを明らかにした(石橋,第37回日本看護研究学会,2011)。 また,患者参画型糖尿病教室を担当してきた援助者に,フォーカス・グループ・ディスカッションを行い,エンパワメントにつながった援助方法として,「ペースを合わせる」「グループダイナミクスを活用する」「関心を向け続ける」「成功体験を活用する」「やりたいことに取り組む」「メカニズム(原理)を伝える」「入念な準備をする」「具体的に対応する」「認める」「自分で考える機会を提供する」などを明らかにした(石橋,第6回島根看護学術集会,2011)。
|