研究概要 |
脳血管障害発症後の混乱期における家族機能障害への看護介入とその評価(2006~2008年度科学研究費(基盤研究(C)課題番号:18592402)の研究活動で,この時期の患者と家族への看護介入として「感情の安定化」と「情報提供ならびに双方のコミュニケーションの促進による目標の共有化」の2つの柱を基軸とする看護介入のプログラムの実用化を検討した。 2010年度は,研究協力をしてくれる医療機関への依頼,看護介入プログラムを現場で展開する研究協力者(看護師)の募集を行ない,介入プログラムの周知に向けて研修会を行なった。 プログラム検討と研究体制を整える間,構築した看護介入プログラムの妥当性や実用性を高めるため,脳血管障害患者と家族5事例に対して,研究代表者が介入を試行した。その結果,家族機能評価尺度であるFAD (Family Assessment Device)は,双方の「情緒的反応」「行動統制」において得点が介入後にやや下がる(4段階尺度において2.0点前後が家族機能として平均的値であり,高値ほど家族機能が不安定)傾向が認められた。また介入後の質問紙による質的評価では,家族から「専門的な立場でバックアップしてもらえている安心感を得られた」との反応が得られた。介入プログラムの基軸の1つである「感情の安定化」の側面では,この介入の効果が認められている。 一方家族間での「目標の共有化」においては,患者の後遺症の重症度や発症前からの家族関係などの影響を受けることが大きいため,家族が介入効果を実感出来ている状況は十分とは言えない。2011年度は介入者の意図的な介入強化が必要である。
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