研究課題/領域番号 |
21600006
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
戸田 一雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80134708)
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研究分担者 |
木本 万里 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (60101565)
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キーワード | 眼窩下神経結紮モデル / 三叉神経脊髄路核 / トランスフェクション / RNA干渉 / フォンフライ毛 / 外界電位 / 逃避反射 / ラット |
研究概要 |
Infraorbital nerve-chronic constriction injury model(眼窩下神経結紮モデル)による三叉神経痛モデルラットを実験的に作製し、ラット三叉神経節へのカプサイシン受容体および同TRPスーパーファミリー(侵害受容性陽イオンチャネル)遺伝子の相補的21塩基対二本鎖RNA(siRNA)をin vivoトランスフェクションし(TR-Rat)、ラット個体の疼痛閾値の変化、および三叉神経脊髄路核ニューロン活動の記録を行うことにより、鎮痛様効果が惹起されるか否かを確認した。解析は、昨年度の行動学的疼痛変化の解析により結紮後8-12日目の変化が顕著であったため、結紮後4日目にトランスフェクションし、その後7日間にわたり行動学的閾値測定(フォンフライ毛を用いた機械的刺激に対する逃避反応閾値)、およびその後7日目(結紮後11日目)に、顔面皮膚に与えた電気刺激に対する三叉神経脊髄路核における侵害受容性応答を記録した。主な結果として1)TR-ratでは行動学的にトランスフェクション1日目から対照ラット(C-Rat)と比較して閾値の上昇が観察され、その効果は少なくとも7日間持続した。2)トランスフェクション7日目における三叉神経脊髄路核でのField Potential(外界電位)の振幅はTR-RatではC-Ratと比較してその陰性成分が減弱された。難治性疼痛は現在でも詳しい病因が不明とされており、臨床的にも対処法が困難な場合が多く見られる。本研究で難治性疼痛のメカニズムの一部が分子レベルで初めて明らかになり、特に三叉神経領域の神経因性疼痛の原因解明と効果的な予防・治療法の開発に少なからず貢献することが期待される。
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