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2010 年度 実績報告書

先天性無痛無汗症の分子病態解析に基づく内感覚と自律神経の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21600010
研究機関熊本大学

研究代表者

犬童 康弘  熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40244131)

キーワード先天性無痛症 / 先天性無痛無汗症 / 遺伝性感覚自律神経性ニューパチーIV型 / 神経成長因子 / 神経成長因子受容体 / TRKA / NTRK1 / 内感覚
研究概要

先天性無痛無汗症(CIPA)の原因は、チロシンキナーゼ型神経成長因子受容体TrkAタンパク質をコードする遺伝子NTRK1の機能喪失性変異である。胎児期に神経栄養因子のひとつである神経成長因子(NGF)の受容体の機能が障害される。このため、NGF依存性ニューロンの生存・維持が障害される結果、温覚・痛覚を伝える感覚神経(ポリモーダル受容器)と交感神経ニューロンが欠損し、また中枢神経ニューロンの一部も欠損すると考えられている。
ソマティック・マーカー仮説(SMH)は、アントニオ・R・ダマシオにより提唱された脳科学理論で、ヒトの推論と意思決定は身体に支えられ、適切な判断を下すためには知性だけでなく情動が必要不可欠であるとする。ソマティック・マーカー(SM)は、判断をある方向に向ける一種のバイアス装置のようなもので、その基盤は情動のプロセスにありこれから生みだされた特別な感情である。痛みは不快な感覚・情動体験と定義されるが、SMの形成過程にも大きく影響する。SMHでは、心的活動は間断なく状態が変化する身体と脳との相互作用に依存していること、また身体を考慮せずに情動や感情も合理的意志決定も説明できないとされる。
これまで、SMHの基盤となる神経とNGF-TrkAシステムとの関連については言及されていない。本研究では、新しい生理学的感覚受容の概念で生体の恒常性維持に重要なはたらきをする内感覚(interoception)とSMHの関連について解析を行っている。CIPAへの分子病態をもとに、NGFが内感覚神経と交感神経の生存・維持に必須であることが判明した。また、NGF依存性ニューロンが、SMHにおいて身体と脳との相互作用に必須なはたらきをする神経ネットワークを構成することが示唆された。このことは、将来的には、痛みと恒常性維持との関連、さらに情動と慢性疼痛の関連についても新たな視点を提供する可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Nerve growth factor, pain, itch and inflammation : lessons from congenital insensitivity to pain with anhidrosis2010

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Indo
    • 雑誌名

      Expert Review of Neurotherapeutics

      巻: 10 ページ: 1707-1724

    • URL

      http://hdl.handle.net/2298/23889

    • 査読あり
  • [学会発表] 先天性無痛無汗症の分子病態からみた神経成長因子(NGF)依存性ニューロンとソマティック・マーカー仮説2010

    • 著者名/発表者名
      犬童康弘
    • 学会等名
      第32回 日本疼痛学会
    • 発表場所
      京都市左京区宝ヶ池、国立京都国際会館
    • 年月日
      2010-07-03
  • [備考] 「熊本大学学術リポジトリ」にて論文を公開している

    • URL

      http://reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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