研究課題
Morphineの脊髄鎮痛効力は、神経障害性疹痛においては両側性に著しく減弱するが、endomorphin-1およびendomorphin-2の脊髄鎮痛効力は、神経障害性疹痛においては全く減弱しないことを、平成22年度に明らかにした。そこで、神経障害性疹痛と同様に難治性疹痛の一種である炎症性慢性疹痛における、endomorphin-1およびendomorphin-2の脊髄鎮痛効力を検討した。神経障害性疹痛の場合と同様に、morphineの脊髄鎮痛効果は、炎症性慢性疹痛においても両側性に著しく減弱した。一方endomorphin-1およびendomorphin-2の脊髄鎮痛効力は、神経障害性疹痛の場合とは異なり、炎症性慢性疹痛においては両側性に減弱した。以上の様に、endomorphin-1およびendomorphin-2の脊髄鎮痛効力は、難治性疹痛の種類により著しく異なり、endomorphin-1およびendomorphin 2は神経障害性疹痛に対して特に有効性を示すことが明らかとなった。Endomorphin-1の脊髄鎮痛作用は、exon-1あるいはexon-13含有μ受容体スプライスバリアントを介して、endomorphin-2の脊髄鎮痛作用は、exon-1、exon-12あるいはexor-14含有μ受容体スプライスバリアントを介して発現することを、平成21年度に明らかにした。そこで、難治性疹痛下におけるendomorphin-1およびendomorphin-2感受性μ受容体スプライスバリアントの、脊髄における発現量変化を測定した。その結果、神経障害性疹痛下においては、exon-1含有μ受容体スプライスバリアントの脊髄発現量は著しく低下するが、exon-12、exon-13あるいはexon-14含有μ受容体スプライスバリアントの脊髄発現量は全く低下しないことが明らかとなった。Morphineの脊髄鎮痛作用は、exon-1含有、exon-12、exon-13あるいはexon-14非含有μ受容体スプライスバリアントのみを介して発現する。Endomorphin-1およびendomorphin-2が、morphineとは異なり神経障害性疹痛に対しても有効性を示すのは、神経障害性疹痛下においてもその発現が維持されているexon-12、exon-13あるいはexon-14含有μ受容体スプライスバリアントに作用することによることが明らかとなった。
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