研究課題/領域番号 |
21600017
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
神原 政仁 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10441312)
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研究分担者 |
小林 希実子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70418961)
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キーワード | サイトカイン / 神経傷害性疼痛 / 脊髄後角 / マイクログリア / アストロサイト / TNF alpha / TNF受容体 |
研究概要 |
末梢神経が損傷されると神経節あるいは脊髄でsatellite cellやマイクコグリアが活性化し、神経傷害性疼痛の発生に関与していることが近年明らかとなり、in vitroの実験系において活性化したマイクログリアから遊離されたサイトカインがneuronの過興奮性や神経因性疼痛の形成に重要な役割を果たしていることが示唆されている。平成21年度は神経因性疼痛モデルの一つであるSNIモデルを作成し、TNF alphaとその受容体であるTNFR1、TNFR2に着目して半定量的RT-PCR法とin situ hybridization(ISH)法にてmRNAの発現変化を調べた。その結果、脊髄ではTNF alphaはnaiveでは検出できず、SNIモデル作成12時間から増え始め、24時間をピークに、72時間後にはnaiveと同レベルまでmRNAの発現量が下がっていた。発現細胞を二重ISH-免疫染色法にて検討を行うと、マイクログリアで増加していることが分かった。この一過性の発現パターンに対して、TNFR1受容体はnaiveでは主にアストロサイトと脊髄後角のごく一部のneuronに発現が見られ、SNIモデル作成後はアストロサイトとマイクログリアでモデル作成後3日をピークに発現量が増加していた。また、TNFR2受容体はnaiveではマイクログリアに弱く発現していたが、モデル作成後3日をピークにマイクログリアで発現が増加していた。 以上のことから、末梢神経損傷24時間後の脊髄後角ではTNF alphaがマイクログリアで増加することにより、アストロサイト・脊髄後角neuronでTNFR1により受容されることが神経因性疼痛形成の初期段階に関与していると考えられるため、この段階でTNF alphaの働きを抑えることで神経因性疼痛形成を抑制できる事が期待される。
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