研究概要 |
末梢神経が損傷されると神経節あるいは脊髄でsatellite cellやマイクログリアが活性化し、神経傷害性疼痛の発生に関与していることが近年明らかとなり、in vitroの実験系において活性化したマイクログリアから遊離されたサイトカインがneuronの過興奮性や神経因性疼痛の形成に重要な役割を果たしていることが示唆されている。平成21年度の結果から神経因性疼痛モデルの一つであるSNIモデルラットの脊髄において、TNF alphaはnaiveでは検出できず、SNIモデル作成12時間からマイクログリアで増え始め、24時間をピークに、72時間後にはnaiveと同レベルまでmRNAの発現量が下がっているという一過性の発現パターンに対して、TNFR1受容体、TNFR2受容体共にモデル作成後3日をピークに発現量が増加していた。このことから、TNF alphaのピークが24時間で48時間後には検出できなくなるにもかかわらず、受容体の発現ピークが3日後であるため、他のリガンドがTNF R1, R2受容体に作用しているのではないかと考え、リンホトキシンalphaとリンホトキシンbetaをRT-PCR法、in situ hybridization法を用いて検討した。その結果、DRG,脊髄においてリンホトキシンalpha, beta共に検出できず、SNIモデル作成1~14日において増加も見られなかった。そのため、脊髄後角においてTNF R1, R2は一過性に発現するTNF alphaが神経因性疼痛を引き起こす重要な因子であることが考えられる。
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